恐れるな。語り続けよ。黙っているな。

わたしがあなたと共にいる。(使徒言行録189-10

 

  2019125

                        カトリック大和教会

                                                          主任司祭 鈴木正夫


 

1125日の教皇ミサに参加することができました。それぞれの国籍を持った大和教会の仲間とのバスツアーでした。テーマソング「Protect all Life」を聞きながら,歌いながら私たちがローマカトリック教会のメンバーであることをあらためて実感できる素晴らしい巡礼体験でした。

 フランシスコ教皇様の訪日は日本社会に大きなインパクトを与えたことを実感します。天皇陛下訪問、総理大臣との面談等もあり、またマスコミによる好意的報道は人口の0.4%のわずかなカトリック者の存在を数倍に広めてくれたような気がします。

 広島では「その沈黙の淵から、亡き人びとのすさまじい叫び声が今なお聞こえてきます」と述べ、核に関する一連の発言は被爆された多くの方々の代弁であり、同時に世界の軍事拡張の動きにとっても明確な警鐘でもありました。単なる政治家のレベルではない神の意志の代弁者・預言者としての力あるお言葉でした。「確信を持ってあらためて申し上げます。戦争のために原子力を使用することは,現代において犯罪以外のなにものでもありません」と述べ「核兵器を保持することも倫理に反します・・・これについて私たちは神の裁きを受けることになります」と世界に向かって明確に述べられました。

 風見鶏のように時代の風に優柔不断に迎合することなく,「恐れるな。語り続けよ。黙っているな。」(使徒言行録189)とパウロは幻の中で主の言葉を受けました。実はこの言葉を受ける前に彼はギリシアのアレオバゴスの真ん中に立ち福音を説いたのですが、人びとにあざ笑われ,「それについては,いずれまた聞かせてもらおう」(使徒言行録17)と軽くあしらわれたばかりでした。アテネは当時、世界の文化の中心地、哲学をはじめ賢者と呼ばれる人びとが寄り集い知的な論議に花を咲かせている場所でした。福音の教えは必ずしも知的で説得力のある演説ではなく,生と死と復活に基づくイエスの出来事のお話はギリシアの哲人たちには良くわからなかった話だったのでしょう。

 ブラックフライデーとかサイバーマンデーとかの言葉が年末のこの頃飛び交っています。要するに年末商戦のことでしょう。人びとの消費を促す大安売りに踊らされる時でもあります。123日のBSニュースでフランシスコ教皇の発言が報道されていました。「物のために暮らしても決して満足することはない。欲望が膨らみ,それを得られなかった人は常に満たされず怒りを感じる。消費主義は信仰をむしばむウイルスだ。・・・消費主義は,持っている物で人生が決まってしまうと信じるようになってしまう」と。人びとの消費こそ経済活動の源泉であり,これを妨げることは経済の活性化を妨げるものでもあります。

御自分の命がいつまで持つかわからないと言う内容の発言を時々なさるそうですが,そのような健康・寿命の限界を感じながら教皇様は世界に向かって大切な福音の価値を発信し続けておられます。「恐れるな。語り続けよ。黙っているな。」と言う主の御言葉を文字通り実践されています。Protect all life 命とは何か どんな命を守ろうとするのか。

 

 

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